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【工務店とハウスメーカー】注文住宅を依頼するとき、どちらを選ぶ? 工務店とハウスメーカーそれぞれのメリットとデメリット

注文住宅を建てるとき、どんな会社に依頼すればいいでしょうか。
せっかく建てる持ち家ですから、光熱費が安くなる最新の省エネ性能を備えたいし、流行のデザインも取り入れたい。一方で、建築費用はできるだけ抑えたいのはもちろんです。
今回は、家を建てる多くの人が依頼する「工務店」「ハウスメーカー」のそれぞれの特徴と、それをふまえて自分の希望を実現してくれる会社を選ぶためのポイントをご紹介します。

家を建てるときに依頼する「工務店」「ハウスメーカー」はどう違う?

家を建てるときに多くの人が利用する会社として「工務店」と「ハウスメーカー」があります。「工務店」「ハウスメーカー」の定義とは何か、どんな特徴をもっているのかを解説します。

「工務店」「ハウスメーカー」とは

「工務店」「ハウスメーカー」はそれぞれ、以下のような会社です。

■工務店とは
工務店とは、住宅を含む工事全般を請け負う会社のことを指す総称です。住宅だけでなく、店舗やオフィスビルを造っていたり、土地や道路の整備といった「土木工事」を請け負ったりしている工務店もあります。

元々大工をしていた人が一人親方として立ち上げた小さな会社から、多くの社員を抱え、都道府県の枠組みを超えて営業を展開する大手の工務店まで、会社の規模はさまざまですが、基本は地域密着型です。

「不動産部門」「設計部門」などの事業展開をしている会社もあります。
工務店のなかで年間棟数規模20棟以上の企業を「ビルダー」と呼んで区別することもあります。

また、「FC(フランチャイズ)」「VC(ボランタリーチェーン)」と呼ぶ大きな提携グループに参加している工務店の場合は、住宅ブランドの統一や資材の共同調達でコスト削減と信用度のアップを図っています。

■ハウスメーカーとは
名前のとおり、ハウスメーカーは住宅を提供する会社で、ほとんどが全国展開している大企業です。
多くの場合「××ホーム」「△△ハウス」といった住宅ブランドをテレビコマーシャルなどで宣伝していて知名度もあり、たいていは全国各地の住宅展示場で手軽にモデルハウスを見学することができます。

ハウスメーカーの住宅は統一規格の住宅についてあらかじめ申請して法的な認定を受ける「型式適合認定」を受けているので、個別の住宅の建築確認申請時に書類作成や審査が簡素化されます。

ハウスメーカーは一般には割高とされていますが、近年では「ローコスト住宅」で業績を伸ばしている会社もあります。
ローコスト住宅専門のハウスメーカーで家を建てる場合、一般的な工務店並みかそれよりも低コストとなることもあります。

実は「工務店」「ハウスメーカー」に厳密な定義はありません。地方都市の小さな工務店から始まり、住宅事業専門で拡大している中規模程度の会社なら工務店でありハウスメーカーでもある、ということもあるし、ハウスメーカーの下請け工事を請け負う工務店もあります。とはいえ、地元で住宅建築を手掛ける会社が工務店、全国で住宅を専門に供給する大企業がハウスメーカーというのが一般的な認識です。

家を建てるときに「工務店」を利用する人は約7割。愛媛県の場合は?

工務店とハウスメーカー、自分の家を建てる人はどちらを利用することが多いのでしょうか。実は工務店を利用して家を建てる人の割合が7割以上とされています。統計の取り方や全国の地域による差もありますが、大体の目安は以下のとおりです。

・工務店を利用…7割以上
・ハウスメーカーを利用…2割
・その他…1割未満

「その他」には設計事務所に直接依頼する場合などが該当します。

愛媛県ではどんな会社が実績を上げているのかについて、SUUMOの調査が参考になります。「愛媛県 注文住宅 着工棟数トップ10社 発表【2015年度】
愛媛県には大手ハウスメーカーのほとんどが進出しているので、トップ10には知名度の高いハウスメーカーが6社入っています。

しかし、実際に依頼した施工会社分類では工務店48%、ビルダー(規模の大きな工務店)28%の合計で76%となり、愛媛県では4人のうち3人は工務店に依頼して家を建てていることがわかります。

「工務店」「ハウスメーカー」それぞれの特徴とメリット・デメリット

注文住宅を依頼するとき、工務店とハウスメーカーのどちらを選んだらいいでしょうか。納得できる家づくりのためには、それぞれの特徴を理解して自分に合った会社を選ぶことが大切です。

工務店の一番の魅力は「価格の安さ」。難しいのはいい会社の見極め

工務店で家を建てる場合、ハウスメーカーよりも低料金となることがほとんどです。これは、直接地元の職人を組織できること、広告宣伝費をあまりかけていないことなどが理由です。しかしすべての工務店が一定の品質の住宅を割安で提供できるわけではないので、安心して任せられる会社を選ぶことはとても重要です。

もうひとつ、工務店に依頼するときの大きな長所は、個人の要望に柔軟に対応してくれるということです。
斬新なデザインや特殊な間取り、造り付け家具を多くしたいといった明確な要望がある場合はそれを実現してくれそうな工務店を探すのがおすすめです。

また、「大きなガレージ」「倉庫付き住宅」などを造りたい場合も同様です。

一方で工務店に依頼する難しさは、自分の要望に応えてくれる会社を自分で判断して選ばなくてはならないということです。
工務店を選ぶときはその施工実績などを見て自分の希望をかなえてくれそうな会社を選びますが、イメージ通りの仕上りにならなかったり、要望を伝えたらあとから追加料金を請求されて結局かなり高額になってしまったりという例はよくあります。

また、格安な見積もり料金を提示した工務店と契約したものの、その会社が手抜き工事を行ったり、施工の途中で倒産したりといったリスクもあります。

ハウスメーカーのよさは安定した品質。デメリットは割高な費用と、自由度の低さ

ハウスメーカーの住宅は地元の工務店に依頼するよりも割高となります。これは、企業が展開するテレビCMや住宅展示場、新しい技術編開発投資などが含まれているためですが、施主にとって高い料金を払うだけのメリットがないわけではありません。まず契約にあたり倒産リスクなどが極めて少ないという安心感が得られること、住宅の品質・性能・プランに一定の信頼感があることなどです。

ハウスメーカーの家は、最新のデザインと省エネなどの性能を備えています。また、長年の経験に基づき、人気があり住みやすさもあるデザイン・間取り・仕様を提供します。

ハウスメーカーのプランは多くの人が満足する最大公約数的な規格に設定されています。その分、個別の要望には応じにくい事情があり、前述した「型式適合認定」の範囲を超えるプラン変更を希望すると、当初見積もりからかなり割高になってしまいがちという点がマイナス面です。

また、近年では有名企業でも欠陥施工事例が発覚する例があります。
さらに、多くの要望を受け付けた担当者がすべてを反映しきれず、ちょっとした施工ミスが生じることはどんな家づくりでもあることです。したがって「ハウスメーカーに頼めば100%安心」というわけではないことも認識しておきましょう。

一覧表で比較!工務店とハウスメーカー、それぞれの長所と短所

工務店とハウスメーカーの特徴を項目ごとに比較してまとめたのが以下の表です。

工務店 ハウスメーカー
企業規模 地域密着で小規模 全国展開して知名度も高い
価格 建築坪単価:約40万円~
・工務店全体を平均するとハウスメーカーよりも割安である
・ハウスメーカーの平均価格よりも割高な工務店もある
建築坪単価:約60万円~
・ハウスメーカー全体の平均価格は工務店より割高となる
・プラン変更などの要望をするとさらに割高になることが多い
・メーカーおすすめの規格の範囲内で住宅を建てると価格を抑えられるので工務店よりも割安になる場合もある
最新技術 ・ZEHなどの実績がある工務店とそうでない工務店とのバラツキがある ・最新性能を備えた住宅建築の実績が豊富
自由度 かなり高い
・最初のプラン作りから詳細にいたるまで、個人の要望に柔軟に応じてもらえる
かなり低い
・規格の範囲外の要望には応じられないこともあるし、要望を取り入れるたときは割高になってしまう
デザイン ・設計事務所との提携などで最新のデザインに力を入れている工務店もあれば、昔ながらの家づくりをしている工務店もある
・独自のデザインの希望には最大限応じてもらえることが多いが、特別な資材を使う場合には割高になってしまうこともある
・独自のデザインを希望すると割高になりやすい
・住宅展示場で展示されているモデルルームのデザインが気に入って似たようなデザインで依頼する場合は、追加料金なしで割安感がある
工期 平均で4~6か月 平均で3~5か月
品質への信頼度 ・個々の会社の実績を見て判断する必要がある ・品質への信頼度が高い
地元の気候や風土に合った設計 ・地元の工務店は地域に合わせた仕様を熟知している ・メーカーによっては地域独自の仕様に対応が難しいこともある
アフターフォロー ・引渡し後も近くにいて相談しやすい
・会社が倒産するリスクがある
・担当者が異動して相談しづらくなってしまうこともある
・会社倒産のリスクは低く、長期保証の点で安心感がある
諸手続き ・補助金の申請や各種手続きなどを自分でやらなければならない場合もある ・担当者が代行してくれることが多い
会社選び ・時間をかけて自分に合った会社を選ぶ必要がある
・いい会社を見つければ割安な価格でデザインや仕様の点でも満足度の高い家づくりができる
・知名度のあるハウスメーカーに依頼すれば一定の安心感と満足が得られる

ご覧のように工務店、ハウスメーカーそれぞれの長所と短所は表裏一体であり、どちらを選ぶべきかは、人それぞれの「どんな家づくりがしたいか」についての考え方次第といえます。

失敗しない注文住宅づくり。工務店やハウスメーカーの上手な選び方

【タイプ別】こんな人には工務店・ハウスメーカーどちらがおすすめ?

工務店かハウスメーカーかという2択よりも、実際には「どこの工務店」「どこのハウスメーカー」に依頼するかを最終決定することのほうが難しくてかつ、最も重要です。
以下の情報はその前段階において、工務店中心に探すか、ハウスメーカー中心に探すかという方針を決めるときの参考にしてください。

■とにかく価格を抑えたい人→工務店、または、ローコスト住宅専門ハウスメーカーがおすすめ
住宅展示場で大手ハウスメーカーの家を見学すると、「うちでも低予算で建てられますよ」と営業担当者に勧められることもありますが、そこは慎重に受け止めましょう。
予算は限られているが独自の設計プランを建ててもらいたい人は、地元の工務店数社に相談してみましょう。

ハウスメーカーの規格品で問題ないという場合は、ローコスト住宅メーカーも選択肢に入れることができます。

■「こんな家を建てたい」というこだわりがある人、自分のイメージが明確な人→デザインに強い工務店がおすすめ
外観はこんな感じ、内装の色調はこんなトーン、ロフトも作りたい…など、さまざまなこだわりを家づくりで実現したい人は、プランニング段階で柔軟に対応してくれる工務店がおすすめです。
会社のサイトやパンフレットで施工実績を見て、全く違った多様なテイストの家を建てているような工務店なら独自のこだわりを実現してくれると期待ができます。

地元の設計事務所と提携している工務店も有力候補です。

■強いこだわりや自分のイメージはあまりないが、性能やデザイン面で満足できる家を建てたい人→ハウスメーカーまたは提案力のある工務店がおすすめ
家を建てることを決めたがどんな家にしたらいいか思い描けない人は、まず住宅展示場へ行ってみるというのも一つの方法です。
いくつかのモデルハウスが集結している住宅展示場が近くにあればベストです。

最新の家をいくつか比較してみると「この家がいい」というイメージがはっきりしてきます。モデルハウスのテイストが気に入ればそのハウスメーカーに相談してみればいいし、もう少し他の候補も検討したいという場合は、そこで見た家を基準として地元の工務店なども検討してみましょう。

■迷ってしまって家づくりのイメージがなかなか固まらない人→ハウスメーカー、または頼れる担当者がついてくれる工務店がおすすめ
工務店・ハウスメーカーなどの実績を比較検討してみたときに、どれもそれぞれに魅力的でなかなかひとつを選べないという人もいます。
迷いやすい人は、個別の希望をに沿ってプランをつくる工務店で家を建てるとなかなかなかなか納得感を得られません。最大公約数的な住みやすい家を提案してくれるハウスメーカーに依頼したほうが無難といえます。また、工務店・ハウスメーカーに関わらず、施主のニーズをヒアリングして、それをうまく実現してくれそうな、頼れる担当者がいる会社を選ぶようにすることも成功の秘訣です。

■忙しくて施工会社選びやその後の打ち合わせに時間をかけられない人→ハウスメーカーまたは規模の大きな工務店がおすすめ
注文住宅を建てるときは、まず会社選びに始まり、施工会社を決めてからもプラン詳細の決定、工事の進捗確認、諸手続きなどで多くの時間を割く必要があります。
夫婦共働きなどで家族の誰も家づくりの打ち合わせに時間をかけられない場合は、できるだけ担当者にお任せで進めることができるハウスメーカー、またはハウスメーカー並みに担当者に任せられる大手の工務店がおすすめです。

■将来のリフォームも考えて末永く付き合える会社に依頼したい人→アフターフォローに定評のある、ハウスメーカーまたは規模と実績が確かな工務店がおすすめ
新築で引き渡される住宅の住み心地は快適でも、10年、20年と住み続けるうちに修繕が必要な箇所が出てきます。

また、住宅の劣化にかかわらず家族の事情などによりリフォームが必要となることもあります。
家を新築する際、その場限りでなく将来にわたって頼りになる会社に依頼したい人は、アフターフォローのシステムや実績を確かめて、ハウスメーカーまたは工務店を選ぶようにしましょう。

大企業であるハウスメーカーならどの会社でもアフターフォローは万全だろうと期待しますが、着工実績を重視する急成長企業などではアフターフォローができる人員が乏しいというケースもあるので注意しましょう。

■「事務所兼自宅」「ガレージ付き」など特殊な仕様の家を建てたい人→多様な建物施工実績のある工務店がおすすめ
一般的な住宅ではなく事務所や店舗付きだったり、広めのガレージや倉庫を作りたいといった特別な仕様の家を希望している場合は、店舗や事務所などの実績もある工務店がおすすめです。

【施工会社選び】工務店・ハウスメーカーどちらも見てから絞り込むのがおすすめ

大体の方針を決めたうえで候補を絞り込み、、実際に依頼する1社を選んでいく「会社選び」は注文住宅の新築における非常に重要なプロセスです。主に工務店・ハウスメーカーを対象として自分の希望をかなえてくれる家づくりのパートナーを選ぶまでの手順を解説します。

1■ 家族で「どんな家が欲しいか」を話し合い、ゆずれないポイントをはっきりさせる
家族で「どんな家が欲しいのか」を話し合います。
ここではまず予算、間取り、必ず欲しい設備、必ず実現したいデザインなど、最優先すべきポイントをいくつかに絞ります。次に、できれば実現したいものも箇条書きでリストアップしておくといいでしょう。

2■ 資料請求、住宅展示場、セミナーなどで情報収集
注文住宅を依頼する会社を選ぶための情報を集めましょう。

①資料請求 
②住宅展示場見学 
③家づくりセミナーなどへの参加 
④周囲で家を建てた人からのヒアリング 

などの方法があります。
資料請求は最も手軽な方法であり、近隣に住宅展示場があればそれも見ておくといいでしょう。
住宅情報を集ま㋒SUUMOやHOMEsでは無料のセミナーを全国各地で開催しています。

また、ハウスメーカーのセミナーや工務店が開催する住宅見学会などもあります。さらに、実際に家を建てた人の経験談はかなり参考になることが多いので、周囲に該当する人がいれば話をきいてみましょう。

3■ 見積もりを依頼する会社を3~4社に絞り込む
資料を検討したあとは気になる会社には実際に足を運んで説明を受けたりして、つくりたい家のイメージに合いそうな会社を絞り込みます。
あまり多くの会社を比較しても煩雑になり効率が悪いので、この段階で、3~4社に絞り込むことがおすすめです。工務店・ハウスメーカーのどちらに依頼するか迷っている場合はこの3~4社に工務店・ハウスメーカーのどちらも最低1社を候補に入れておきます。工務店かハウスメーカーかをすでに絞り込んでいる場合は、それぞれのジャンルから候補を選びましょう。

・予算
・住宅の大まかなコンセプトやデザイン
・担当者の信頼感や相性
・会社の信頼感

などを考慮して候補を決めていきましょう。

4■相見積もりを依頼する
候補となった会社に敷地や建物面積、希望する仕様、予算などの条件を提示して、合い見積もりを依頼します。この段階までは費用は発生しないことが多いですが、簡単なプラン作成が有料となる会社もあるので、見積もり依頼段階で費用が発生するかどうかについては確認が必要です。

5■施工会社を絞り込む
いよいよ家づくりを依頼する会社選びです。ここまでの段階をしっかりと踏まえていれば、迷うことなく施工を依頼したい会社を選べるはずです。しかし、もしもこの時点でも迷ってしまうなら、先ほどの1~4のステップをもう一度やり直してみたり、絞り込んだ候補会社との話し合いの場を設けたりします。

※今回は、施工会社選びに関連する手順のみをご紹介しています。実際の家づくりの手順ではこれ以外にも「土地の地盤確認」「契約書のチェック」「ローンの申請」「初期費用の発生」など様々なステップが存在するので、それを踏まえ、十分な時間の余裕をもって家づくりを進めていきましょう。