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歴史と文化が豊かな愛媛県。歴史的建造物から最新建築まで、観光でぜひ見ておきたい建築物をご紹介


今回は、愛媛県を観光するときに見逃せない、近代から現代までの愛媛県内の建築物をエリアごとにご紹介します。愛媛県には代々木体育館や東京都庁などをデザインした世界的建築家・丹下健三をはじめ、安藤忠雄・黒川紀章など有名建築家が設計した建物があります。明治~大正時代の町並みが保存され、現在は観光スポットとなっている場所も合わせてご紹介していきます。

【今治市】多数残る世界的建築家・丹下健三の作品などを鑑賞

愛媛県で建築物を鑑賞したい人が真っ先に訪れるのは今治です。戦後の日本の高度成長期に活躍した建築家・丹下健三氏は小中学校時代を今治市で過ごしました。
そんな今治市には丹下氏の初期の作品である「今治市庁舎本館」「今治市公会堂」をはじめ、全7棟の丹下作品を一挙に鑑賞することができます。
参考:丹下都市建築設計公式サイト

■今治市庁舎本館
愛媛県今治市別宮町
1958年竣工 丹下健三設計
・丹下健三氏の作品の特徴である直線的なデザイン、重厚感と格調の高さが表れています。

今治市公会堂
愛媛県今治市別宮町
1958年竣工 丹下健三設計

・建物の老朽化により解体する案も出ましたが、貴重な建築物ということで保存が決定し、2013年に耐震改修工事が行われました。印象深いデザインの建物で、今治市のシンボル的存在です。

今治市民会館
愛媛県今治市別宮町
1965年竣工 丹下健三設計
・壁面のガラス窓の枠はよく見ると不規則な模様を描いています。

■今治市庁舎第一別館
愛媛県今治市別宮町
1972年竣工 丹下健三設計
・こちらは本館と違い縦の線が強調された高層建築となっています。

■愛媛信用金庫今治支店
愛媛県今治市常盤
1960年竣工 丹下健三設計
・今治市庁舎にも共通するコンクリート造り・直線的なデザインとなっています。

■愛媛信用金庫常盤支店
愛媛県今治市常盤町
1967年竣工 丹下健三設計
・窓枠の模様が今治市民会館と共通しています。

今治地域地場産業振興センター
愛媛県今治市旭町
1985年竣工 丹下健三設計
・タオル製品などおみやげグッズのショップがある観光スポットです。

以下は、丹下作品以外の見ておきたい建築物です。

■みなと交流センター
愛媛県今治市片原町
2016年竣工 原広司設計
・市が進めている「みなと再生事業」の中核施設で、船を模した外観が印象的です。愛称は、はーばりー。

今治市伊東豊雄建築ミュージアム
今治市大三島町浦戸
2011年竣工 伊藤豊雄設計
・「スティールハット」と「シルバーハット」という2つの建築物からなるミュージアム。大三島で人気フォトスポットのひとつです。
ところミュージアム大三島
今治市大三島町浦戸
2004開館 山本英明+DEN住宅研究所設計 
・現代アートの美術館です。オープンテラスは瀬戸内海の多島美が望めるフォトスポット。

■今治ラヂウム温泉本館
今治市共栄町
1926年頃の竣工 1988改修
・空襲の戦火を免れた鉄筋コンクリート造の温泉施設。浴室は八角形ドーム型になっています。

■日本食研KO宮殿工場
今治市クリエイティブヒルズ
2006竣工 事前予約で見学可
・ヨーロッパを代表するベルベデーレ宮殿をモチーフとして建設されました。予約により見学できます。

芸予要塞跡
今治市小島
1900年頃竣工
・日清戦争の時代の要塞がほぼ完全な形で残っています。

【松山市】「道後温泉本館」など歴史ある建物や、県庁舎をはじめとする代表的な建築物を鑑賞

松山市観光では必ず訪れる場所となっている、日本最古といわれる道後温泉。温泉を楽しむだけでなく、重要文化財である道後温泉本館もじっくり観賞したいところです。

道後温泉本館【重要文化財】【近代化産業遺産】
松山市道後湯之町 坂本又八郎設計
1894年改築 2019年1月から耐震改修工事
・道後湯之町初代町長の伊佐庭如矢(いさにわゆきや)が、100年後の道後の繁栄を見据えて私財を投じて建設。難を乗り越えて、明治27年(1894)に改築した木造3階建て
・本館は宮崎駿監督の映画『千と千尋の神隠し』に登場する「油屋」のモデルのひとつとされています。

萬翠荘【重要文化財】
愛媛県松山市一番町
1922年竣工 木子七郎設計
・旧松山藩主子孫の久松定謨伯爵の別邸として建設されたフランス風の洋館建築です。
国重要文化財、愛媛県指定有形文化財に指定されています

道後館
愛媛県松山市道後多幸町
1989年竣工 黒川紀章設計
・現在も営業している旅館ですが、旅館らしからぬ迫力のある外観です。

また、県庁所在地である松山市には愛媛県庁舎など県の代表的な施設があります。

愛媛県庁舎
松山市一番町
1929年に木子七郎の設計で本館が竣工 
・美しいシンメトリーの近代洋風建築です。

■伊予銀行本店
愛媛県松山市南堀端町
1953年竣工 長谷部栄吉設計
・派手さはありませんが、じつは凝ったデザインです。

愛媛県県民文化会館
愛媛県松山市道後町
1985年竣工 丹下健三設計
・愛称はひめぎんホール。3000席・西日本最大のホールです。

愛媛県美術館
愛媛県松山市堀之内
1998年竣工 設計は株式会社日建設計
・松山城跡内にある美術館です。

坂の上の雲ミュージアム
愛媛県松山市一番町
2007年竣工 安藤忠雄設計
・安藤忠雄氏が「坂の上の雲」をイメージしてデザインしました。三角形をした4階建ての建築で、内部には「空中階段」があります。

伊丹十三記念館
愛媛県松山市東石井
2007年竣工 中村好文設計
・外から見るとシンプルな箱型ですが、中庭を囲む回廊のような建物となっています。外壁は自然素材の焼杉です。

一六本舗 道後本館前店
愛媛県松山市道後湯之町
2008年竣工 中村好文設計
・1階はショップ、2階は喫茶 階段踊り場に伊丹十三の展示があります。タルトを模した象嵌のテーブルがポイントです。

瀬戸内リトリート青凪
愛媛県松山市柳谷町
・安藤忠雄設計のリゾートホテル(旧・エリエール美術館)です。

【新居浜市】”東洋のマチュピチュ”といわれる歴史遺構をはじめ、見どころは多数

新居浜市といえばまず別子銅山。1973年まで使用されていた採鉱施設のいくつかが保存されています。

マイントピア別子
愛媛県新居浜市立川
・別子銅山の端出場貯鉱庫跡、旧端出場水力無発電所、第四通洞(坑道)などの産業遺構があります。“東洋のマチュピチュ”といわれる風景はと東平(とうなる)地区で見ることができます。

あかがねミュージアム
愛媛県新居浜市坂井町
2015年竣工 設計は株式会社日建設計
・別子銅山のイメージを反映する「銅葺き」のドームが印象的な建物です。

旧広瀬邸【重要文化財】、広瀬歴史記念館
愛媛県新居浜市上原
1877年竣工、1889年移築・改装
・別子銅山を興した広瀬宰平ゆかりの施設。重要文化財の旧広瀬邸のほか各種展示や建造物を鑑賞できます。

武徳殿
新居浜市徳常町
1939年竣工
・純和風建築の豪快な外観が特徴です。平成16年に国の登録有形文化財となりました。現在も武道場として現役で使用されています。

愛媛県総合科学博物館
愛媛県新居浜市大生院
1994年竣工 黒川紀章設計
・ギネスブックに載った直径30mのプラネタリウムがある科学博物館です。

【西条市】安藤忠雄デザインの「南岳山光明寺」などを鑑賞

西条市には、安藤忠雄氏が設計したお寺があります。最新建築である市庁舎や西条図書館にも注目です。

南岳山光明寺
愛媛県西条市大町
2000年竣工 安藤忠雄設計
・ベイマツの温かみのある本堂とコンクリート造りの建物のコントラストが上品です。お堂の周りの水はもちろん湧き水です。

西条市庁舎新館
愛媛県西条市明屋敷
2014年竣工 設計は安井建築設計事務所
・地元産木材を活用し、自然との調和を意識したデザインです。

西条市立西条図書館
愛媛県西条市大町
2009年竣工 設計は石本建築事務所
・石鎚の山並みをイメージした建物です。館内は明るく開放的で、最新の設備が整っています。

【内子町】【大洲】【その他】タイムトリップ感覚で楽しめる!歴史を体感する町並みを散策

愛媛県内には江戸時代から明治時代にかけて地場産業で栄えた町が多数あります。内子町では当時のままの町並みが歴史的建造物とともに保存されています。

内子座
喜多郡内子町内子
1916年竣工 1986年改修
・大正時代に建てられた芝居小屋です。老朽化して取り壊されそうになったときに地元の声で保存が決定。現在も各種公演に利用されています。今では内子のランドマーク的な存在です。

本芳我(ほんはが)家住宅【重要文化財】
喜多郡内子町内子
1889年頃に竣工 
・明治時代に建てられた、「木蝋」で財を成した豪商本芳我家の屋敷です。本芳我家は隆盛を極め勢力を拡大しました。内部は非公開ですが、当時の贅を尽くした建物装飾を鑑賞できます。

上芳我家住宅【重要文化財】
喜多郡内子町内子
・木蝋資料館となっているので内部も見学できます。

大村家住宅【重要文化財】
喜多郡内子町内子
・江戸時代に建てられた大村家住宅は2012年に復元されました。本芳我家住宅よりも古い建築様式を見ることができます。

文化交流ヴィラ高橋邸
喜多郡内子町内子
・日本のビール王と呼ばれた高橋龍太郎翁が育った屋敷です。一日一組限定で宿泊が可能です。

八日市護国重要伝統的建造物群保存地区
喜多郡内子町内子
・“浅黄色の土壁”が特徴的な、明治の時代から保存された町並みを散策できます。

“伊予の小京都”と呼ばれる大洲も明治~大正時代の建物群が保存されていて、観賞しながら散策できます。

臥龍山荘【重要文化財】
大洲市大洲
1907年頃竣工
・明治の貿易商河内寅次郎氏が京都や神戸の名工を呼び寄せ構想10年・工期4年の歳月をかけ建てた別荘で、贅を尽くした和風建築の伝統美が集約されています。

おおず赤煉瓦館(本館、別館)
大洲市大洲
1901年竣工 
・大洲商業銀行本店として建てられた洋風建築です。現在はショップなどが入る観光スポットとなっています。

長浜町庁舎
大洲市長浜
1936年竣工
・2階建、桟瓦葺の入母屋造りの昭和初期の洋風建築です。当時の長浜の活況がしのばれます。

小藪温泉本館
大洲市肱川町宇和川
1922年頃竣工
・数少ない現存する”三層楼閣風”の木造旅館で、現在も営業しています。

末永家住宅旧主屋
大洲市長浜
1884年竣工 
・豪商末永家の店舗兼住宅。「なまこ壁」などが当時の様式の特徴です。

旧加藤家住宅主屋
大洲市大洲
1925年竣工
・洋風デザインを取り入れた和風建築で、「殿様の家」として地域で親しまれています。

最後に、今まで紹介したエリア以外のぜひ見ておきたい建造物もいくつかご紹介します。

旧開明学校校舎【重要文化財】
西予市宇和町卯之町
1882年竣工
・洋風建築の校舎です。資料館となっていて内部は見学可能です。

愛媛県歴史文化博物館
西予市宇和町卯之町
1995年竣工 寺本 敏則設計
・山並みを模した起伏に富んだ設計が海を望む自然のなかに溶け込んでいます。見る角度によって少しずつ違った印象を受ける建物です。

内之浦公会堂
八幡浜市保内町川之石
1937年竣工
・西洋風建築の建物は今も公民館として使用されています。予約により内部を見学できます。

愛媛蚕種
八幡浜市保内町川之石
1919年竣工
・県内に唯一残っている蚕種製造会社です。築100年の木造の建物が今も使用されています。